葛藤の連続…低年齢での不安症の薬。飲む?飲まない?

娘は、不登校をきっかけに、日常生活に支障をきたすほどに不安が強くなってしまいました。

現在娘が服薬している薬は2種類。

  • 睡眠へのアプローチ:メラトベル
  • 不安へのアプローチ:甘麦大棗湯かんばくだいそうとう

今回は、娘の服薬を通して、私の感じたことを書いてみたいと思います。

どなたかの参考になれば幸いです。

薬に対する認識

皆さんは、自分が体調が悪い時、

薬を飲む派ですか?

それとも、

気合いで治す派ですか?

私は、症状が出ると、比較的すぐに薬を飲みます。

だって、飲まないと家事も育児も、介護も進まないから。

ゆっくり寝て安静にしていられる余裕もない、というのが正直なところかもしれません。

しかし、薬は極力飲まない!という方もいますよね。
(ワクチン関係も出来るなら打ちたくないという方も

その認識自体は、別に悪いものではないと思います。

人それぞれ違いますから、薬を飲もうが、気合いで治そうが自由です。

あくまで「治れば」の話ですがね…

しかし、親の薬に対しての認識が、子供への服薬と健康管理にも大きな影響を与え兼ねないという事実は注視する必要があるだろうと感じます。

子供は小さな自分(親)ではないし、親だから子供の全てを自由に扱っていいというものでもない。

親子であっても、切り離して考えるべき時があると私は思っています。

薬を飲む理由

最初、娘は薬の服用を頑なに拒否しました。

もちろんマズイというもありますが、

薬で元気になったら
学校に戻される

そう誤解・警戒し、薬を拒否していたのです。

親としては、不安を軽くしてあげたい、ぐっすり眠れるようになればいい、そう思っていただけだったので、そんな捉え方があったのか…と驚きました。

無理に学校に戻すつもりはないこと、

そして、

ただ、今日を楽しんで過ごし、
明日を楽しみに眠りについて欲しいこと。

行きたい場所へ行き
食べたいものを食べ
大好きなことをして生きて欲しい。

そう思っていることを伝え、ようやく薬を受け入れてくれました。

もちろん、私も、娘自身も、家にいるだけで生きていけるとは思っていません。

外の世界へ出て、人と関わっていくべき時が必ずきます。

その時に、自分に自信をもって堂々と飛び込んでいけるように、今が大切な期間になってくるんだと思っています。

くすりの履歴

メラトベル

「睡眠薬」と聞くと、ちょっと怖いですよね。

私は無理に眠らされるようなイメージがあり、最初は怖かったです。

でも、医師と薬剤師から丁寧な説明を受け、子供でも安全に使用出来るとわかったので試すことを決めました。

結果としては、娘とは相性が良く、睡眠の質が大幅に改善しました。

しかし、服薬前には、当時の夫からの反対意見もありました。

この年齢から、薬で眠らせるってどうなの?

どうなの?と言われても、寝れなくて困っているのは子供本人なわけです。

子供だって、飲まなくても寝れるなら薬なんて飲みたくないのです。

飲まない方法をあれこれ試して、それでも無理だったから最後に薬に頼ろうとなったのですが、当時の夫は、なかなか受け入れられなかったようでした。

安全性について

メラトベルは、睡眠に作用するお薬の中でも、依存しにくく比較的安全に使用できるとされています。

もちろん「薬」である以上、副作用の報告もありますし、合う合わないの個人差はあります。

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メラトベルは、twitterでも、娘のように効果があったという声もあれば、

「眠れたけど中途覚醒してしまう」という声も見られました。

メラトベルは、睡眠導入に困難がある場合に特に効果を感じられやすいお薬なので、深い眠りを長時間継続することに関しては、メラトベル以外の別のアプローチが必要ということなのかな、と思ったりもします。

低年齢での睡眠の困難は、必然的に親も睡眠不足になります。

そして、慢性的な睡眠不足は、心の余裕をなくしやすく、感情のコントロールが難しくなります。

見守る親にとっても、子供自身にとっても、決して良い状況ではありません。

赤ちゃんの頃から夜泣きや授乳が多いと、成長しても昔から寝ない子だったし…とそのままにしてしまいがちですが、気になるようでしたら、一度、小児科で相談してみるといいかと思います。

看過できない変化

誰かに覗かれていると怯え、

窓やカーテンも開けられなくなったり、

ドアの僅かな隙間や
採光用の小さな窓にも怯えたり、

鏡が怖くなって洗面所へ行けなくなったり、

誰かが侵入してくるのではと心配して、
玄関の施錠を確認したり、

交通事故に遭うと怯え、
車での外出でさえ苦痛になったり…。

健全な心の状態ではない

精神的なことに関して
専門的な知識のない私でも
それだけはわかりました。

コンスタン0.4mg/0.5錠

上に書いた諸々の症状が出ていた際に処方された、初めての抗不安薬です。

とにかく副作用として眠気が出やすいとの注意喚起がありました。

実際、小学2年生の娘には効き過ぎて、朝飲んで夕方まで布団から起き上がることが出来ませんでした。

その日の内に薬剤師と医師に相談し、中止。

娘の薬への拒否もあり、結局、投薬はせずにこれまで同様にカウンセリングで様子を見ることとなりました。

レクサプロ10mg/0.5錠

コンスタンから1年程たって、処方された抗うつ薬です。

小学3年生になったばかりの頃でした。

以前ほど、見えないなにかに怯える症状は治まっていたものの、時折押し寄せる不安感は残っており行動に制限がかかったままでした。

そして、特に強い症状だったのが、この世が滅亡してしまうのではないか、という漠然とした恐怖感。

もう明日は来ないかもしれない

そんな不安が頭をよぎり、突然泣き出してしまうことがよくありました。

この薬の副作用としては胃腸症状が出ることがあるが、比較的穏やかだと説明されました。

前回のコンスタンのことがあるので、今回も本当に悩みました。

本当に飲ませていいのだろうか…

親として娘を救いたくて飲ませるのか?

ただ自分が安心したくて飲ませようとしてないか?

娘を薬でコントロールしようとしていないか?

考えても考えてもわからず、
救いの手を求めた相手、

それは…娘でした。

新しい薬がどんなもので
どんな効果が期待できるか
どんな副作用があるか

全部話しました。

娘も、一生懸命に話を聞いてくれました。

そして娘の出した答えは、
私が考える以上に大人でしっかりしたものでした。

怖いことは無くなって欲しい。

でも、自分に何が起こるかわからない
薬を飲むのはもっと怖い。

だから、それは飲みたくない。

でも、なんとかした方がいい状態
だってことはわかった。

もっと優しい薬があったら
試してみてもいいよ。

この娘の言葉を聞いた時、フッと力が抜け、

もっと早く娘に相談すれば良かったと、心底思いました。

小学生で不登校。
勉強は一桁の足し算引き算しか出来ません。

それでも、物事を捉える力、考える力はしっかり養われていたんだな…と成長を知りました。

と同時に、「きっと、この子は大丈夫…」と思えました。

結局、レクサプロは飲まず、翌日医師に報告。

飲めなくても怒る先生ではないのですが、処方してもらったのに勝手な判断をしてすみません。と伝えたところ、

自分で考え、判断できる
とても賢い、聡明なお子さんですよ。

と言ってもらえて、涙が出るほど嬉しかったです。

そして、この後から、より安全で副作用が少ない漢方薬を始めることとなりました。

甘麦大棗湯(かんばくだいそうとう)

不安を和らげる効果があるとされている漢方薬です。

「甘い麦」という漢字のごとく、漢方では珍しく甘みがあり、比較的飲みやすいです。

とはいえ、感覚過敏がある娘にはどんな薬も本当に苦労します。

最初は、1/2袋から慣らしていきます。

徐々に量を増やして、現在は全量(1袋)をココアに混ぜて飲めるようになりました。

うまく飲むポイント

漢方薬を完全に溶かしきること!
電子レンジで温めたり、少量の熱湯に浸すと溶けやすいと、薬剤師に教えてもらいました✌(インスタントコーヒーのイメージ)

飲んで2週間ほど経った頃から効果が出て、日中、不安な表情をすることが減りました。

現在は服用して3か月程たったところです。

外出をする、学校へ行く、外の世界に興味を示す、ということはまだありませんが、

確実に、日中の不安感は和らいでいると感じます。

療育やカウンセリングの後は、帰宅後にグッタリすることが多かったのですが、回復が早くなったようにも感じます。

「寝たらこの世が終わってしまうのではないか?」と考え、寝る直前に怯えることもなくなりました。

娘の年齢だと、薬の量を増やすとより効果が出るそうですが、やっと慣れたところなので、まだ増量はせずにいます。

安全性について

赤ちゃんの夜泣きやひきつけに処方されることもあり、赤ちゃんから飲める安全性の高い漢方薬なのだそうです。

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ですが安易に「漢方薬なら安心!」と思い込むのは危険です。

漢方薬も「薬」である以上、副作用や体質により効果に個人差があります。

漢方薬は市販で買えるものもありますが、医師・薬剤師と連携を取り、子供の体調を適切に管理できる環境下で服薬するのが望ましいと思います。

薬を飲ませるのは親の責任?

子供に対する薬の服用に、悩まない親はいないと思います。

飲んでも苦しみは続くかもしれない、

でも、飲まないで苦しみから解放される術が見つからない。

どの親も、どの医者も、最初からすぐに薬で解決しようとは思っていないはずです。

まずは本人の成長を見守り、尊重し、試行錯誤を重ねての結果です。

難しい用語が並ぶ専門書を読んだり、

お金を払ってセミナーに行き知識を得たり、

親として出来ることはないか…
常に考えています。

それでも、症状の改善が見られなかったり、日常生活や社会生活に支障をきたす懸念がある場合に、「じゃぁ…薬を試してみようか」となるのです。

仮に薬のおかげで親子でラクに生きられるようになったとしても、外側からの心無い言葉に傷つき悩むこともある。

薬を飲む子の頑張りが足りないわけでも、その親の躾が足りないわけでも決してないのに。

twitterでも、発達障害に関する服薬に対し、様々な意見がよく投稿されています。

覚醒剤を飲ませているのと同じだ、などと薬そのものを否定する意見もあれば、

子供の笑顔が減ったことで服用を中止させた親に対し、薬を継続しなかったことを非難する人もいます。

そして何より、配偶者や親などの身内から、服用を否定・批判されることが本当にツライ。

どうか、子供の服用に関しては、暖かい目で見守ってくれると嬉しいです。

薬は、辛い症状を緩和してくれる頼もしい存在です。

症状が緩和されることで、これまでより生きやすくなったり、楽しめることが増えるのも素晴らしいことです。

しかし、使い方を誤れば、
緩和どころか暴走することさえある。

ラクになれるからとりあえず薬

と薬が身近になり過ぎるのは良くないと感じます。

薬が全てを
解決してくれるわけじゃない

薬を飲んでも、
行動は自分で起こす必要がある。

娘にはそう伝えています。

そして、

自分が飲まなくても大丈夫なタイプだから
子供にも薬を飲ませない

は絶対にダメです。

身体的な症状はもちろんですが、特に心の健康は、身体的な不調と違って目に見えません。

そして、心と身体は密接に関係しています。

心が無理をしていれば、いずれ身体的な不調が出てきます。

その時、表面的な身体症状だけに気を取られることなく、本当に手当てを必要としているのはどこか、しっかり見極めることが、大人には求められていると思います。

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