昨年の記事ですが、2024年度もcare show japanが開催されるそうなので、rewriteして再掲載させて頂きます。
体験会の必要性
この記事を書こうと思ったきっかけは、Twitterでのつぶやき。
都内で、介護や医療に関わる商品を見たり、実際に手に取ったりできるイベントが開催されていると見たことでした。
残念ながら、事業者向けのイベントで、一般参加は不可となっていましたが、
身近で開催されたらいいな…
ふと、そう思いました。
地域でこじんまりとした規模でも、介護食や車いすなどの福祉器具を実際に見たり触ったりできたらいいなと思ったのです。
実際には個人間で契約できないものが多いので、あくまで体験が目的。
車いすや介護ベッドも、イメージするより実際は大きく感じるものです。
車いす生活になったら今の家で動かせるかどうか、とか、
部屋に介護ベッドを置くとどうなるかとか、実物を見れると介護生活がイメージしやすいと思うのです。
また、介護食やケア用品は実費で購入するものも多いですが、どんなものが必要かはあまり知られていません。
介護職の方でも、カタログでしか見たことない商品もあるでしょうし、
介護用品を作る企業側にとっても、利用者のリアルな声を聞ける良い機会なのではないかと思います。
欲を言えば、同時に介護に関する一般的な相談コーナーや、オムツ替えなどの簡単な研修などもあってもいいな~なんて思ったりもします。
高齢化が進む地域こそ、様々な商品が必要ですが、現状、商品の品揃えがいいとは言えません。
私の母は、喀痰吸引があるので、アルコール綿や吸引チューブを常時必要としますが、近隣のドラックストアで簡単に手に入るものではありません。
結果、ネットに頼るしかありませんが、それが出来ない人もいるでしょう。
田舎だと配送までに時間がかかったり、配送料で高く費用がかかることもあります。
親世代になると、スマホは持っていても、買い物は実際の店舗で…という人も少なくありません。
地域にある身近なお店で、必要な介護用品がなんでも揃えられるようになればいいなと思います。
もちろん、介護用品として売られているものでなくても、日常にあるものでいくらでも代用はできます。
100均にもあります。
しかし、やはり専用に作られたものは、使いやすかったり、丈夫だったりと専用ならではの価値があるとも思います。
きっと『そんな便利なものがあるならもっと早く知りたかった…』という人もいるでしょう。
実際、Twitterでは、夜中の体位変換がつらいという方でも、自動体位変換機能や耐圧分散機能のあるマットレスの存在を知らない方もいらっしゃいました。
介護度に応じて利用できないこともあるとは思いますが、存在を知った上で使わないのか、知らずに使えないのかではわけが違います。
いつか必要になったら使えるかもしれない、その知識があるだけで心強く思えたり、救われたりもします。
一般の製品・専門の製品、それぞれを知った上で、状況や予算と照らし合わせて、決められたらいいなと思います。
介護食について
このケアショーでは、介護食の展示もあるそうですが、これも、一般の方が欲している情報ではないかと思います。
介護が必要な方の食事は、食べられればいいというものではありません。
咀嚼機能や嚥下能力を見極め、適切な硬さや大きさで食材を調理して提供する必要があります。
一歩間違えれば、窒息の危険を伴う大変重い責任を背負っています。
それにプラスして、バランスや彩りを考えるのはもちろんのこと、
限られた食材・調理方法の中で飽きないように工夫し、心を満たせるようにおやつなども適切にチョイスしなければなりません。
仮に料理が好きだったとしても、毎日、毎食だと相当のプレッシャーです。
しかし、食事は特に
母親(女性)が作って当たり前
家族の食事のついでに作ればいい
と楽観視されてしまい、苦悩が理解されにくいように思います。
だからこそ、一般の方への介護食に対するアドバイスやレシピの提供、便利なアイテム?などがあれば、どんどん共有していってほしいと思うところです。
私は、母がリハビリ病院に入院している時、業務用の介護食カタログを見せていただく機会がありました。
見た目は普通の食材なのに、柔らかさや栄養バランスが調整されたお弁当のようなものが多数掲載されていました。
現状、手軽に買える介護食と言えば、パウチタイプのものがほとんどです。(子供の離乳食と似たようなもの)
お弁当タイプは、配達サービスなどを利用する他ありません。
パウチタイプのものがダメと言っているわけではなくて、「いかにも介護食」というものは提供する側もされる側も嫌厭してしまうかなと思ったり…。(以外と見た目を気にする方も多いのではないかな)
需要がそこまでないと言われればそこまでかもしれませんが、誰だって何もしたくない時、息抜きがしたい時がありますよね。
私たちが、疲れた時に、お弁当やスーパーのお惣菜で簡単に済ませるのと同じように、
様々なタイプの介護食が、近くのスーパーやコンビニで欲しい時にサッと手に入るようになると、助かる人がいるんじゃないかなと思うのです。
これもTwitterで見たつぶやきですが、「介護用のおせちってないのかな…」と見かけたことがありました。
年末年始を控え、家族のご飯を用意することに頭を悩ませる女性も多くいるのではないかと思います。
最近は、減塩やアレルギーに配慮したおせちが販売されていますが、介護食としてのおせちや、ちょっとした特別な日に食べられるもの(松花堂弁当の介護食版みたいなもの)が気軽に買えるようになると、介護の大変さを軽減できていいのではないかな、とも思います。
コンビニへの期待
ケアショーとは直接関係ないのですが…
今後、コンビニでも介護食を取り扱ってくれたらいいなと思います。
なぜなら、高齢者は、頻繁にコンビニを利用する傾向にある!と私は思っているからです。
というのも、私の母は、一人暮らしをしていた時に、歩いて5分の距離にあるセブンイレブンを毎日のように利用していました。
スーパーは広い店舗内を歩き回って商品を探すのが大変だと言っていました。
その点、コンビニは多少高くつきますが、量も食べきるのにちょうど良く、店内から商品を見つけやすいそうです。
新商品にも挑戦したりして、味に飽きることもない。
以外と、高齢の方も、ジャンクなものを好きだったりするので、レジ周りのホットスナック系も気軽に買える、というのも良いのかもしれません。
外出が出来る方であれば、出先で排泄の失敗でオムツ替えが必要になることもあるかもしれませんので、少量パックのオムツがあっても助かりますよね。(もうあるのかな…?)
替えのオムツを持ち運べばいいことですが、子供のオムツと違い、大人のオムツは大きくて嵩張ります。
荷物が増えると、介護をする側の負担が増えるので外出そのものが億劫に思えてしまい、純粋に楽しめなくなってしまうこともあります。
全国どこにいても比較的見つけやすいコンビニに、介護用品が取り扱われるようになったら、家族での外出がよりラクに楽しめるようになるのではないか、と私は思います。
母は、通っていたお店の方に顔を覚えてもらい、よく声をかけて頂いていました。
昔でいう商店街で会話しながら買い物するという感じだったのかもしれません。
お店の方のご迷惑なるほどに喋るのはいけませんが、高齢になると人と交流する機会が減る傾向にあると思うので、少しでも外に出て家族以外の人と交流することも大切なことだな、と思います。
介護を身近に
実際、介護が必要になった時には、ケアマネジャーが必要な介護用品を選んでくれるので、困ることは少ないと思いますが、
介護職をしている方にとって「そんなこと…」と思うような些細なことですら、未経験の私たち一般人は不安に感じています。
とはいえ、介護保険では介護を担う側の心の準備やケアまではカバーできません。
ならば、防災グッズのように介護用品を、普段から身近なものにしておく必要があるのかなと思います。
介護について家族で話してほしい
とは思いますが、突然介護について話せる人などそういないこともわかっています。
やっぱり「きっかけ」が必要。
「相談聞きますよ」と窓口だけ設置しても、なかなか相談しに行けないものです。
介護が必要な人だけが考えるのではなく、
介護が必要になった時に初めて考えるのでもなく、
元気な時にこそ落ち着いて考えたり、
準備出来ることがある
ということを積極的に知ってもらいたいと思っています。
そのきっかけとなるような「介護」に関するイベントが、今後増えていくといいなと思います。
介護保険料について
ちょっと話がずれますが…
介護保険料が40歳から支払われることや、保険料が上がることに対し、Xでも否定的な意見が多く見られます。
利用することはほとんどないんだから、払うだけ無駄!
税金を使ってまで長生きするな!
こういった対立は、子育て世代でもあり、介護保険を使わせてもらっている立場でもある私としては、非常に複雑で何とも言えないもどかしい気持ちになります。
確かに、働きざかりの世代では介護なんて考えられないかもしれません。
ましてや、今20代の方には介護保険の存在意義すらわからないと思います。
自分の生活費を切り詰めて生活していれば、現在の自分に直接関係ないものに、強制的に払わされることに疑問を抱くこともわかります。
食えなくなったら死ねばいい
そう思う人がいても仕方ないと思います。
でも、自分の親がそうなった時、
「税金がもったいない。明日死んでくれ」
などと言えるでしょうか?
もし、自分がそうなった時、
「若い子に悪い。俺/私は、今日死にます」
なんて、割り切れるでしょうか。
いつまでも自分が「外側」の人間でいられるわけじゃない。
いくら人生100年時代とはいえ、体の機能が100歳まで完全に機能することが保証されているわけでもない。
介護が必要になるのは、老いだけが要因ではありません。
誰にでも可能性としてあることです。
これから迎えるお正月。
実家に帰省する方も多いでしょう。
おかえり!と迎えてくれる人がいることも
ただいま!と帰れる場所があることも当たり前ではありません。
手作りのおせちやお雑煮など、家族のためにふるまわれる手料理はありませんか?
毎年同じで飽きるかもしれませんが、それさえも、次のお正月にも食べられる保証などないのです。
一定の年齢になるとうっとおしいとさえ思える家族団らんの時間も、いつ出来なくなってもおかしくないのです。
自分には関係ない、そう思っていられる期間は、以外と短い。
だからとって、若い世代に負担を強いるだけでは不公平感があるのは当然のこと。
同時に、若い世代が希望を持てるような政策や、国としても身を削る覚悟が求められていると思います。
「介護」は特別なことではありません。
もし身近にいないとしたら、たまたまいないだけ。
近い将来、どんな人にもやってきます。
誰にでも必要なことだからこそ、
【情報が得られた人だけが得をする】
のではなく、
【誰もが適切な情報を得ることができる】
のが理想です。
そして、介護状態であること、介護に関わっていることが、社会生活でデメリットになることがあってはならないと感じます。
介護を受けながらでも
介護をしながらでも
豊かな生活を送ることが出来る
そんな社会であるように願っています。
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