※この記事は、過去記事のリライト版です。
親が現役だった時代は、
手術した病院で退院まで診てもらえる
これが当たり前。
しかし、今は違いますね。
いくら本人が望んでも、時期がくれば退院しなければならないことがほとんど。
こんな状態で退院して大丈夫!?
と不安になるほどの早さに当時は驚きました。
そして、母が転院したリハビリテーション病院、皆さん、知っていましたか?
私は、母が倒れるまで存在も、名前も知りませんでした。
総合病院のように、誰もがお世話になる病院ではありませんが、転倒による骨折で何度も入退院を繰り返す高齢者も多いと聞きます。
この病院の存在を知っておくと、いざという時に役に立つのではないかな、とも思います。
どなたかの参考になれば、幸いです。
どんなところ?
症状が発症した直後が【急性期】
命の危険を脱し全身状態が安定してくると、
次は【回復期】となります。
この回復期に、集中的、且つ効果的にリハビリを行い、筋力・能力の低下や寝たきりを防ぐことを目的としたのがリハビリテーション病院です。
なので、急性期病院や療養型の病院と比較して、圧倒的にリハビリにかける時間が多いのが特徴です。
さらに、疾患により入院に期限が設けられている点も大きな違いでしょう。(最大で180日)
一日の流れ
母が入院した病院では、午前・午後とリハビリのプログラムがしっかり組まれていました。
まるで学校の時間割のようでした。
はっきりと覚えていないのですが、大体、こんな↓スケジュールだったように思います。
時間になると、病室まで担当の先生が迎えに来てくれて、各々リハビリに励みます。
病室のベッドの上で行うリハビリの他、専用の器具を使う人、歩く練習をする人もいました。
また、折り紙や手芸など手を使った作業をしている方や、文字を読んだり書いたりしている方も。
高齢者のリハビリ=のんびりゆったり
だと思っていたので、スケジュールを見た時、「ガチなやつだ…」と驚きました💦
でもよくよく考えれば、リハビリするための病院なので当たり前ですよね。
いくら本人の気持ちがのらなくても、
「じゃぁ寝てていいよ」とはなりません。
本人が苦痛を感じたとしても、です。
リハビリ病院へ転院する、ということは、リハビリをしなくてはならない、ということでもあります。
病院はどこも同じではありません。
いくら回復期が大切とはいえ、転院先は、本人の状態や退院後の生活をよく考えて決める必要があるな、とも感じました。
リハビリは主に、
理学療法士/
起き上がりなどの全身の動作など
作業療法士/
指先の細かい動作など
言語聴覚士/
口腔ケアや言語、経口摂取訓練など
によって行われています。
驚いたのが、その人数。
普段、接することのない職種の方だったので、世の中にはこんなにリハビリを専門とする仕事に就く人がいるのか!?とビックリしました。
そして更に驚いたのが、年齢の若さ。
20代と思われる方がとても多く、1階のリハビリ室はいつも活気に溢れていました。
誰もが高齢者のリハビリをするためにこの職についたわけではないのだと思いますが、
こんなにもたくさんの若い方が、高齢者の生活や人生をサポートしてくれているということに、とても頼もしさと心強さを感じました。
進まないリハビリ…
母は、急性期病院にいる時から吐き気がひどく、3週間近く、ほとんどをベッドで寝たまま過ごしました。
本来であれば、術後数日で車いすに乗ったり、離床し始めるそうですが、母は全く出来ずにいました。
そして、転院してもなお吐き気とめまいが続き、リハビリが出来ない期間が続きました。
そんな時は、ベッド上でマッサージのように手足を動かして刺激を入れてもらっていました。
リハビリを始めるのは、早ければ早いほど良い(効果がある)と言われています。
私たちも運動しなければ筋力は衰えていきますよね。
それと同じように、仮に麻痺がない健康な状態の体であったとしても、寝ている時間が長ければそれだけ筋力が衰えてしまいます。
筋力が衰えれば、それだけ転倒やケガのリスクが上がります。
さらに、筋力だけでなく、身体機能そのものがうまく働かなくなってしまい兼ねません。
母は、急性期病院の頃を含めれば、1か月以上、離床できずにいました。
出来ることならすぐにでも離床を促したいところ。
しかし、無理に動かせば嘔吐やめまいを引き起こします。
いくらリハビリを早く始めるのが良いとはいえ、それが原因で全身状態が悪化しては元も子も有りません。
リハビリ病院の職員の皆さんも、どうしたものか…ときっと頭を抱えたことと思います。
その後、リハビリが出来るようになっても、尿路感染や、原因不明の微熱が続いたりでリハビリを中断せざるを得ないことも多かったです。
リハビリの意味
リハビリは決してラクなものではありません。
そして、リハビリは先生の力だけでは効果が限定的です。
そんな本人の強い意志があってこそ、効果を発揮することが出来るのだと思います。
そう考えると、母には
「家に帰りたい」はあっても、
「また歩きたい」
「また食べたい」
そのような気持ちは、入院期間を通して感じられませんでした。
やらないといけないから仕方なくやる、そんな雰囲気がありました。
動かない自分の体を、受け入れることが出来ずにいたのかもしれません。
食べても吐いてしまう体に、苦しんでいたのかもしれません。
経口摂取の訓練が終わりを迎え、「もう食べなくていいよ」と声をかけた時の心底嬉しそうな母の顔は今でも忘れられません。
再び歩けるようになることや、
再び口から食べられるようになることなど、
失いかけた機能が回復することは大変喜ばしいことです。
しかし、誰にとっても最善だとは限らないのだな…と母のリハビリを通して感じました。
患者一人ひとり、
疾患も、その度合いも違います。
患者一人ひとり、
目指している退院後の生活も、
そこへかける想いも違います。
入院患者の数と同じだけ、
リハビリのカタチがあるのだと思います。
そして、
入院中の頑張りや苦労を誰よりも知ってくれているのも、
退院後の生活、その後の人生がより豊かになることを願ってくれているのも、
リハビリの先生や病院の職員なのかもしれません。
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