二日間だけ、泊まりに行く。
二日間だけ、介護から離れる時間をもらう。
それだけのつもりでした。
「行ってらっしゃい」と声をかける私に、いつもと変わらず微笑み、小さく手を振り返す母の姿が最後の姿となりました。
ダブルケアで大変な日々ではありましたが、これまで支えて下さった全ての方々に感謝の気持ちでいっぱいです。
さて、今回は、亡くなった後の私の気持ちや、葬儀費用などをまとめてみようと思います。
どなたかの参考になれば幸いです。
葬儀会社の決定
事前にケアマネジャーから紹介してもらえることを聞いていたので、母が亡くなった後に紹介してもらいました。
どこの事業所でも紹介してもらえるとは限りませんので、気になる方はケアマネジャーや施設の担当者に確認してみてもいいと思います。
しかし、亡くなった後の紹介になるので、短い時間で諸々と打ち合わせをしないといけません。
慌てたくない、納得して決めたい、という場合はやはり事前に各自で葬儀会社へ赴き、打ち合わせを行うことをオススメします。
亡くなった後の流れ
深夜にデイの職員の皆さんに見守られて息を引き取った母。
往診の先生による死亡診断などは全てデイ側が対応してくれて、翌日の午前中には、葬儀会社に母の遺体は引き渡されました。
娘への精神的負荷を考え、私は立ち会いを一切しませんでした。
その日の内に、電話で葬儀会社と葬儀内容の打ち合わせ。
でも、直葬だと決めることもほとんどなく、火葬場の日程調整ぐらいでした。
契約したプラン
一番シンプルな火葬式です。(直葬と呼ばれるもの)
オプション追加:一切しませんでした。
遺影/位牌:作っていません。
お坊さん:呼んでいません。
慌てないために…
要介護者は、いつどんな状況で最期を迎えるかわかりません。
家族に見守られながら…が理想だとは思いますが、気づいた時には既に亡くなっていたというケースもあろうかと思います。
どんな形でその時が訪れても、慌てずに対処できるように、どこの誰に一番に連絡するのか、を明確にしておくことが大切です。
ちなみに、母が急変したのは夜中でした。
呼吸が浅くなっている母に、夜勤の看護師さんが気づいて看取ってくれましたが、自宅だったら私も寝ている時間なので、間違いなく朝起きたら…というパターンだったと思います。
献体登録
今回、X(旧Twitter)のコメントで初めて知ったのですが、生前に「献体登録」をしておくという方法があるようです。
この場合、亡くなった後、ご遺体は献体登録している大学へ運ばれ、学生の解剖学習などに活用されます。
役割を終えると、大学側で火葬をして遺骨がご家族に渡されるそうです。
火葬費用がかからないことや、社会貢献できるという考えから登録される方も多いそうです。
献体とは
献体とは、医学・歯学の大学における解剖学の教育・研究に役立たせるため、自分の遺体を無条件・無報酬で提供することをいいます。
1.献体とは (kentai.or.jp)
「自分の死後、遺体を医学・歯学の教育と研究のために役立てたい」とこころざした人が、生前から献体したい大学またはこれに関連した団体に名前を登録しておき(「献体登録をするには」参照)、亡くなられた時、遺族あるいは関係者がその遺志にしたがって遺体を大学に提供することによって、はじめて献体が実行されることになります。
献体登録の注意点
火葬の費用を浮かせることは出来ますが、火葬に立ちあうことは出来ません。
遺骨の返還も1,2年後になることが多いそうです。
自分が医療の発展に貢献したいと思っても、家族は自分たちでお別れをしたいと思っているかもしれません。
遺骨の返還が遅れることで、残された人の気持ちの整理がつきにくくなる可能性もあります。
最終的には本人の意向が尊重されるものと思いますが、自分の気持ちだけで勝手に決めるのではなく、ご家族でよく話し合うことをお勧めします。
火葬式当日の流れ
実は、私は火葬に立ち会うのは今回が初めてでした。
どんな流れで執り行われるのが想像出来ず不安でしたが、葬儀会社の方が丁寧に誘導して下さったので、特に困ることもなく穏やかな気持ちで立ち会うことが出来ました。
服装は、私も娘も、「黒い洋服」にして、正式な喪服は着ませんでした。
私と娘以外に参列者がいなかったので、まぁいいか。という感じです。
棺に入った母も霊柩車で到着。
一番シンプルな火葬式プランの場合、多くは納棺された状態で火葬場に到着しますので、ここから棺の中に何か入れることはできません。
もし、棺に思い出の品等を納めたい場合、納棺前に別に時間をとってもらうことが可能ですので、葬儀会社に相談してみて下さい。(料金が別途プラスされる可能性有)
待ち合わせ時間は、火葬の予約時間の45分前。
ずいぶん早いなぁ…という印象でしたが、火葬の前に読経があったり、参列者が順番にお焼香をしたり、棺越しに最後のお別れの時間を取れるように設定されていることが要因だと後でわかりました。
今回、参列は私と娘の2名。
お坊さんも呼ばず読経もなかったので、私がお焼香をして、棺の窓からほんの数秒だけ顔を眺めて終了です。
45分も時間があるのに、ものの数分ですぐに火葬炉へ。
娘は怖さを感じ、棺に近づきもしたがらなかったので、ただその場にいたという感じで本当に何もせず。
「最後なんだから、ちゃんとさようならしなさい」等の声掛けは、子供を必要以上に追い込んでしまう可能性も。親戚などには、事前に自分の子供の意見を尊重させることを伝えておくことも必要かもしれません。
収骨は、娘が嫌がったこともあり、係の方にお願いしました。
火葬中は控室で待機。
自宅からおやつやジュースを持参し、娘は動画を見て落ち着いて過ごすことが出来ました。(売店がある火葬場もあるようです。)
火葬に要した時間は40分前後だったと思います。
最後に骨壺を受け取ったら終了です。
この時、火葬場から渡される「領収書」は大切に保管しましょう。
「葬祭費」の申請手続きに、この領収書が必要になることがあります。
また、骨壺と一緒に「埋葬許可証」も渡されます。
こちらも納骨時に必ず必要になります。大切に保管しましょう。(骨壺が入っている箱の中で保管すると紛失を防げます。)
参列者もおらず、お坊さんも呼ばない火葬式は、物足りないとか、寂しそうという意見もあると思います。
しかし、私は十分なお別れが出来たと思っています。
私なりに、心を込めてお別れしたつもりです。
なので、後悔もありません。
母の年金から払える範囲内で行えたことで、私が金銭的に悩まされることもなく、
参列者がいなかったことで、親戚対応で気を遣い、余計な神経をすり減らすこともありませんでした。
自分自身と、娘のサポートに徹することが出来たことはとても良かったです。
様々な行政手続き
葬儀を終えた後は、関係各所での手続きが始まります。
自治体や葬儀会社等から、手続き一覧のような冊子をもらえると思いますので、期限の近いものから一つ一つ処理していきましょう。
しかし、これがなかなかに手間と時間、そして労力を強いられます。
役所の中で、いくつもの窓口をハシゴし、似たような書類を何度も記入します。
亡くなった後の手続きに、まとめて対応できる窓口があったらいいのになぁ…
なんて思っていたら、Xのフォロワーさんから「お悔みコーナー」なる窓口がある自治体もあると聞いて、「まさにそれ!それが欲しい!」と思った次第です。
お悔みコーナー、是非とも、全国の自治体で標準装備をお願いしたい…!
介護される人が増えているということは、
当然、亡くなる人も増えていくということ。
死後の手続きを、よりスムーズに済ませられるような対策を考えていくべきと思います。
遺族が手続きに行った時に、亡くなった人の名前/住所/生年月日/死亡した日などが全て印字された状態で書類が出てくるとかしてくれたらとっても助かるなと。
役所としても手続き漏れがなくなるし、待ち時間も短縮できます。
遺族側も、手続きが簡単になって、お互いにwin-winなのでは?と思います。
ちょっと厄介な手続き①:個人契約系
手続きで厄介なのが、個人契約の細々したサービス。
親世代は、意外と「付き合い」で契約していたりするものもあります。
新聞は、地元の小さな新聞店から契約していたりもします。
口座の凍結や解約手続き後に、振替不能のハガキが届いて初めて「こんな契約してたの?!」と気づくケースもあると思いますので、場合によっては郵便物のチェックも必要かと思います。
ちょっと厄介な手続き②:銀行口座
ネット銀行も普及していますので、銀行口座に関しては、通帳がある分だけを解約すれば済む、というものでもありません。
資産運用のために、投資用の口座や、海外口座を開設している場合もあります。
パソコンやスマホはロックされているのが基本ですし、複雑なパスワード、二段認証、指紋などの生態認証をかけていることも多いと思います。
家族といえど、簡単に確認すら出来ません。
スマホの契約を解約しても、WEB上の契約が解約されるわけでもありません。
デジタル機器を利用した資産情報に関しては、生前に家族間で確認・共有しておくことが大切です。
納骨先の決定
今回の一連のやることの中で、これが一番悩んだかもしれません。
母はお墓を持っておらず、親戚とも連絡を絶っていたため、先祖代々どうしていたのかも確認できませんでした。
時間的にも金銭的にも余裕はなかったので、第一候補は海洋散骨でした。
ただ、生前、母が海を好きではなかったことが気になって決めきれずにいた時に、見つけたのが今回利用した「森に眠る納骨堂」です。
こちらは、長野県のお寺が管理している納骨堂になります。
長野県は母の生まれ故郷なので、瞬間的に「ココだ!」と心が動きました。
散骨と比較しても、そこまで値段が高いわけではなかったのも、決め手になりました。
長野県まで娘を連れていくのは難しい状況でもあったので、今回は立ち会いを見送ることにしました。
お仕事や家庭の事情で参列できない方にとっても、納骨式の立ち会いが必須ではないのは、有難いことではないかと思います。
しかし、納骨堂の中を見る事が出来るのは、当日参列した方のみだそうです。(堂内への立入はなし)
納骨後にお寺へ参拝することはいつでも可能ですが、納骨堂には立ち入れませんので、その点は気を付けて下さい。
また、親の世代では、お墓や檀家になったお寺に代々納骨するのが当たり前だったと思います。
仮にお墓を持っていなかったとしても、散骨や、共同墓地、他人の遺骨と混ざる合祀墓には抵抗を感じられる方もいると思います。
納骨方法はどんなものがあるのか
本人はどうしてほしいのか
自分たちでそれは対応可能か
費用も含めて生前によく確認しておけるといいと思います。
こちら↓、私が利用した「森に眠る納骨堂」のHPです。
散骨サービスの種類
今回、様々な散骨があることを知ったので、いくつか紹介したいと思います。
ご利用の際は各自で料金やサービス内容等、よく比較検討されますようお願い致します。
※当団体との関係は一切ありません。
リンクにアフェリエイトなどもありません。
海洋散骨
家族が船に同乗する場合、約20万円前後。
代理散骨だと、約5万円前後。
森林散骨(山や森への散骨)
私が調べた感じだと、お寺が所有している土地内に散骨する、という感じのようです。
散骨場所は非公開となっていることが多く、遺族にも、ざっくりとしか伝えられないこともあるようです。
写真を見る限り、本当に地面の上に撒くだけのようなので、風に吹かれて…ということもあるでしょうし、野生動物が通ることもあるでしょう。
その辺りを納得した上でご利用下さい。
山岳散骨
生前、登山が趣味だったり、山が好きだった方にはいいかもしれません。
空中散骨
セスナ機やヘリコプターに乗り、空中に散骨する方法。
宇宙葬(ロケット)
遺灰のカプセルをロケットに乗せて宇宙空間に打ち上げたり、月にも行けちゃう…?!
宇宙葬(バルーン)
バルーンに粉骨した遺灰を入れて飛ばし、成層圏で自然破裂させて散骨する方法。宇宙葬に分類されていますが、イメージは空中葬に近いと思います。
気になる散骨方法はありましたか?
冷たい土の中に入れるのがかわいそうで四十九日を過ぎても納骨出来ずにいます。
そう私のポストにコメントしてくれた方もいました。
遺骨は、ご家族の気持ちの整理がつくまで手物に置いてもいいと思います。
しかし、納骨することがけじめになって気持ちに整理がつく、ということもあるとも思っています。
これまでの「お墓に入る」という常識・風習に囚われず、ぜひ色々な方法を探して、納得のいく選択・お別れをして欲しいなと思います。
遺骨の送り方
遺骨はゆうパックでのみ郵送することが出来ます。
その他の宅配業者では遺骨は受付不可となっていますので気を付けて下さい。
また、ゆうパックで遺骨を送ることはできますが、万が一、紛失や事故があった場合、金銭的な補償は受けられたとしても大切なご家族の遺骨そのものは戻ってきません。
遺骨を郵送できるのは便利ではありますが、リスクがゼロではないことも頭に入れた上でご利用下さい。
送骨キット
遺骨を送付するためには、配送中に骨壺が割れたり、遺骨が骨壺から出てしまうことがないように梱包に細心の注意を払う必要があります。
骨壺に合ったサイズのダンボールや梱包材を自分で用意する必要がありますが、ネットで販売されている送骨キットを利用するととても便利です。
値段にして4,000円程。
高いととるか、安いととるかは人それぞれだと思いますが、私は手間が省けたので購入して良かったです。
骨壺(骨箱)のサイズによってダンボールのサイズが異なりますので、購入時にはその点をご注意ください。
骨壺のサイズがわからない場合、葬儀会社の請求書をチェックしてみて下さい。
費用
火葬式にかかった費用は約18万円。
内訳は以下の通りです。
その他もろもろ含めていくら?
トータルで約34万円。
内訳は以下の通りです。
費用のポイント
火葬場の利用料金
一般的な葬儀費用として提示されている金額の中に、「火葬場の利用料」は含まれていません。
そして、火葬の費用は自治体によって大きな開きがあります。(無料~約8万円前後)
そもそも公営と民営で大きな差がありますし、公営の場合でも、区域内/区域外で倍以上の金額差があったりします。
私が利用した公営の火葬場は
区域内は15,000円/区域外は50,000円 でした。
利用する火葬場によって費用が大きく変わってきます。
自分や、親の住む自治体の“火葬場事情”を調べておくといいかもしれません。
延長料金
ご存じの方もいるかもしれませんが、近年は火葬場の予約が取りにくく、待期期間が発生することが多くなっています。
火葬日まで遺体を葬儀会社で安置してもらっているわけですが、火葬までの日数分、遺体の安置料金が加算されていきます。
私の場合、火葬日は亡くなってから5日目。
標準プランでは2日目まで。
1日延長するごとに15,000円。
ということで、今回は、30,000円が加算されました。
もし感染症が流行っている時期で、火葬が一週間後や10日後となったら?と考えるとこれだけでかなりの金額になります。
上に書いた葬儀費用&火葬場の利用料金とは別に発生することを頭に入れておきましょう。
葬儀会社との打ち合わせの際には、基本プランで安置出来るのは何日間か、また、追加料金は一日いくらなのかを確認しておくといいと思います。
遺体安置所までの距離
遺体を安置する費用とは別に、亡くなった場所から安置所までの遺体移送費用がかかります。
私が利用した葬儀会社は、「距離」で費用が計算され、標準プランでは20㎞まででした。
葬儀会社を決める一つの目安にしてみて下さい。
遺骨アクセサリー
納骨堂が遠く離れてしまうので、母を身近に感じられていいかも?!と思ったものの、気になったのが処分方法。
アクセサリーを処分する時に、中に入っていた骨はどうするのか葬儀屋さんに聞いてみたところ
アクセサリーは金属ゴミ、骨は僅かなのでティッシュなどにくるんで燃えるゴミに出せます。
ということでした。
もちろん、明らかに「骨」とわかる状態で捨てれば、遺棄したとして問題になりますが、
アクセサリーに入っている米粒一粒にもならない程度であれば、ゴミとして捨てたとしても特に違法ではないのだそうです。
そうは言っても…そうは言ってもです。
大切な家族の骨であることには変わりありません。
骨を捨てていいの?
罰が当たらない?
そんなモヤモヤがどうしても残りました。
あとは、アクセサリーを紛失した場合や、自分が亡くなった時にどうするのか、という問題。
紛失したら、それこそ罪悪感に苛まれたり、喪失感を感じてあとに引いてしまうようにも思います。
結局、後々悩みの種になる気がしたので遺骨アクセサリーは作りませんでした。
遺骨アクセサリーを調べていて特に驚いたのが、「ダイヤモンド葬」と呼ばれるもの。
遺骨からダイヤモンドを人工的に作り上げるサービスで、主に海外の業者へ遺骨を預けて数か月かけて制作されるそうです。
カラット数や宝石の種類によって数十万~数百万円と相当なお値段がするのですが、お墓を買うぐらいなら…と年々、注目度が高まっているようです。
娘への影響
祖母の死が、娘にどう影響するか…
とにかくそれが一番の心配事でした。
娘は不安がとても強く、「死」や「別れ」という言葉に強く感情を揺さぶられる傾向にあります。
いずれは祖母が亡くなることは娘には話していましたし、年々衰えていることは娘自身もわかっていたと思いますが、
初めて経験する家族の死が、どんな形(症状)で出てくるかが気がかりでした。
葬儀のことをどこまで話していいのか
逆に、話してはいけないことはなにか…
新たな傷を負わせることなく
葬儀を終える為にどう対応すべきか…
グルグルと悩んでいたのですが、たまたま開催されていたオンラインのおしゃべり会に参加させて頂き、この件を相談することが出来ました。
そこで、頂いたアドバイスで特に印象に残ったのが
子供にも
知る権利・傷つく権利がある
というものでした。(もちろん適切なフォローがあるのが大前提です!)
やりたいのか、やりたくないのか
見たいのか、見たくないのか
知りたいのか、知りたくないのか
全部、本人に聞いてごらん。
子供もわからないなりに、理解したいと思っているはず。
隠されていたことを後で知る方が傷つくこともある。
そう言われて、ハッとしたのです。
事実を隠そうとすることは、娘にとって大切な経験を奪うだけではなく、
母親である私との信頼関係にも大きな影響を与える可能性があるということに気づかされました。
この時のアドバイスのおかげで、葬儀の日も、その後の日々も、落ち着いて娘に寄り添った対応をすることが出来ました。
見たくない!
怖いから片付けて欲しい。
そう言っていた仏壇や母の写真も、今は自分から話しかけたり、おやつをお供えしてくれるようになりました。
その光景は、介護中にベッドに寝ている母に話しかけているのと同じようにも見えます。
彼女なりに祖母の死を受け入れ、乗り越えてくれたのだと思っています。
他にも、全国各地のダブルケア支援団体が、定期的にダブルケアカフェを開催しています。
ダブルケアの方はもちろん、そうでない方も、仕事をしながら介護をしている人、介護が終わったけど気持ちの整理が付けられない方など、「大切な人のケア」に関する悩みなどを抱えている方は是非、気軽に参加してみて下さい。
当たり前ではない日常
皆さんは、「老衰」と聞いて何歳ぐらいをイメージしますか?
私は90歳近くを想像しますが、母は77歳でした。
老衰にしては、ちょっと早すぎるかな…という印象があります。
それだけ脳出血のダメージが大きかったのだと思いますが、改めて、病気の恐ろしさを実感しました。
介護は老いだけが要因ではありません。
母のように病気がきっかけで、元気な人が突然介護状態になってしまうこともあります。
毎年健康診断を受けていても、
毎月病院に通っていたとしても。
いつ、どんなきっかけで介護が始まるかわからないのです。
今日を生きられること
子供を親に預けて働きに出られること
働く我が子を支えるために孫を預かれること
お盆や年末年始に帰れる家があること
おかえりと迎えてくれる人がいること
帰省してくる家族を待てること
帰省した家族と団欒の時間を過ごせること
またね!と別れ
再び笑顔で会えること
そのどれもが、当たり前ではないのです。
〇歳だから
まだ大丈夫!
そう思っている方も多くいると思いますが、そもそも、年齢で保障された健康などありません。
今日、介護とは無縁の人も、明日には介護が必要な状況になるかもしれません。
介護する側、される側、どちらにも、いつでもなる可能性があるのです。
そして、いつダブルケアラーになってもおかしくない、ということを知って欲しいなと思います。
家族の指定席
おじいちゃんが
いつも座っている座椅子
おばあちゃんが
テレビを見る時に座るソファ
親が食事の時にいつも座る席
そういった家族の「指定席」がどの家にもあると思います。
娘が2歳の時から、リビングに介護ベッドが置いてあった我が家。
介護ベッドは、私たちにとってダイニングテーブルと同じくらいそこにあって当たり前のもので、介護ベッドが「母の指定席」でした。
私も、娘も、気持ちの整理がつかない内に、その指定席が部屋から無くなることは、大きな喪失感に繋がったと思います。
「落ち着いてからで大丈夫ですよ。」とベッドの返却までに期間をくれたことが、どれだけ救いになったかわかりません。
四十九日を過ぎ、気持ちの整理もついてきましたが、まだ、どこかで、母が車椅子で帰ってくるのを待っている自分がいます。
娘も、時々、思い出したように「ババがいなくて寂しいなぁ」とつぶやいています。
私も、娘も、時間をかけて受け入れていければと思っています。
亡くなった後も様々な配慮をして下さったケアマネジャー、そして全ての関係者の優しい気遣いに、心から感謝しています。
これまでは、亡くなった方を盛大に送り出してあげることが、最大の供養であると思われていたと思います。
確かに、一つ一つのことに意味があるのは理解しています。
でも、それらを優先する余り、見送る側の心が置き去りにされてきたようにも思います。
これからは、見送る側の心に寄り添った葬儀へとシフトしていってもいいのではないか、と私は思っています。
法要をしなくても、供養は出来ます。
お墓がなくても、納骨先は見つかります。
親戚を呼ばなくても
立ち会いが一人でも
故人を悲しませることにはなりません。
“出来る範囲”で良いのではないでしょうか。
大切なのは、どれだけ心を込めて見送れるかだと思います。
そして、葬儀にお金をかけるよりも、ご本人が生きている内に、顔を会わせ、会話して、一緒に過ごす時間を共有する方が大切なようにも思います。
医療の進歩に伴い、そう簡単に人は死にません。
しかし、いつか、必ずその日は来ます。
後悔のないお別れが出来るよう、この情報がどなたかの役に立てば幸いです。
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