今回は、本の紹介記事になります。
発達障害・精神ケア・学習障害・思春期など、幅広くチョイスしましたので(そのつもりです^^;)
気になる書籍がありましたら、ぜひ手に取って読んでみてもらえたら嬉しいです。
前半は専門家の方が書いた本、後半が児童書などで分けています。
専門書
子供のための精神医学/著:滝川一廣
「精神医学」という難しそうなタイトルと参考書のような分厚さに、一般の保護者が読む本ではないように思えますが、これが意外にもスラスラと読めてしまいます。単純に病名を解説するだけではなく、「心」に寄り添って理解する手助けをしてくれる一冊だと思いました。
感覚過敏の僕が感じる世界/著:加藤 路瑛
感覚、感じ方は一人ひとり違います。その感度(心地よさ、心地悪さなど)は目で見ることも、機械で計測することも出来ません。この本は、「見えない」ことで生じる社会との”溝”を埋めてくれるような本だと思います。
みんなの「今」を幸せにする学校/著:遠藤 洋路
熊本市の教育改革がまとめられています。行政側の内情や試行錯誤する様子が、ここまで赤裸々に書かれた本は珍しいのではないかと思います。保護者には、教育委員会や行政の教育への取り組みは目に見えにくいですが、この本を読み、日々教育環境を整えようとしてくれている人がいることを改めて知ることができました。
学校に行きたくないきみへ/著:全国不登校新聞社
「学校に行けなくなったら社会ではやっていけない」そんな烙印を押されたように、肩身を狭くして生きる現代の不登校児とその保護者。ここの著名人達のように、悩んだり立ち止まる期間を肯定してくれる社会だったらどれだけ救われるだろうか、と感じました。中学生くらいの年齢なら読めると思いますので、お子様にもオススメです。
学習につまづく子どもの見る力/著:玉井浩・奥村 智人・若宮英司
字が汚い。書くのが遅い。流暢に読めない。数の捉え方が難しい…など、学習に困難を示す要因の一つに「見る力」の弱さがありますが、先生方でも知らない方も多いです。親として子供を理解するためにも良いですし、学校や塾の先生方にも読んで知って欲しいと思います。勉強が苦手な子、と決めつけず、様々な角度から子供の苦手を見つめることが大切だと教えてくれる一冊です。
発達障がいとトラウマ/著:小野真樹
発達障害とトラウマ、どちらの視点からも解説された本は少ないと思います。最近は、何か苦手なことがあったり、逆に突出していたり、困った行動をしたり、不登校になると、「発達障害」だと診断される傾向にありますが、本当にそれでいいのだろうか?何か大切なことを見落としていないか??という問題提起をしてくれているように感じました。鶏が先か、卵が先か…という言葉がピッタリな内容でした。
HSCの子育てハッピーアドバイス/著:明橋大二
娘が不登校になった当時、この本に書かれている言葉に本当に心が救われました。大切なのは、「HSCかどうか」ではなく、こういった繊細な感覚を持った子供が一定数いるという事実を知ることだと思います。現在は、繊細さがマイナスな要素になりやすいですが、これからは、プラスに、強みにしていける世の中になったらいいなと感じました。
児童文学など
実は、今回、私が特にオススメしたいのは、児童文学になります。
どんな本かを紹介する関係上、ネタバレを含みます。ご了承下さい。
オンラインフレンズ(サクラ編)/著:神戸遥真
※サクラ編/ユナ編、どちらからも読めます。
共通の趣味を通してSNSで知り合った二人の物語。※いわゆるネット恋愛の話ではありません。顔にコンプレックスを抱える思春期の女の子が、コンプレックスと、そして自分自身、家族とも真正面から向き合う姿がリアルに描かれています。今や当たり前にあるカメラのエフェクト機能が、こんなにも重要な意味をもつことを初めて知りました。また、初めてのSNSに悩む姿や、少しずつ親の知らない繋がりが広がっていく様子などは、これから子供にSNSの利用を許可しようと考えている保護者の方にもオススメだと思います。
オンラインフレンズ(ユナ編)/著:神戸遥真
※サクラ編/ユナ編、どちらからも読めます。
共通の趣味を通してSNSで知り合った二人の物語。※いわゆるネット恋愛の話ではありません。男の子の体の変化「声変わり」。ただ声が変わっただけ、と思ってしまいますが、自分を失ってしまったような喪失感や、新しい声の自分を受け入れることに葛藤があるということをこの本で初めて知りました。また、ジェンダーレスや男女平等と言われる昨今ですが、少女漫画が好き、ということを男友達に言い出せずいる姿が、「男の子らしさ」という世間の常識の中で悩む男の子の心境をうまく表現していると思いました。
ポーチとノート/著:こまつあやこ
高校生になったのに生理がこないことが悩みの主人公。病院に行った方がいいと頭ではわかっていても、母親にも友達にも言い出せません。一人で思い悩みますが、好きな人が出来たことで、自分の体と真剣に向き合うようになります。性について深く学ぶことがない日本ならではの悩みのように感じました。ハンバーガーとポテトのセットを見て、「このセットみたいに、誰かと恋をするとセックスをするのも当たり前、みんなそんな感覚なのかな?」と性について考える主人公の言葉がとても印象に残りました。性への関心が出てくる年代のお子様をお持ちの保護者、または、その年代の子供が読むのもオススメです。
魔女だったかもしれない私/著:エル・マクニコル
自閉症の姉妹のお話しです。感覚の過敏さ、コミュニケーションの取りにくさ、読み書きの困難さなどが、子供目線、子供の感情そのままに描かれており大変わかりやすいです。障害のある姉妹の中で育つ、健常児の複雑な感情も描かれています。「なんですか、このひどい字は」という教師の言葉と共に、本人の前で破り捨てられるという物語の始まり方に衝撃を受けました。後半、教師が自閉症の子を受けもったことに対し不満をあらわにするシーンがあり、現代の教師のつぶやきがSNSで炎上する光景とリンクしました。
一部、差別的発言や、クラスメイトによるいじめなどのかなりストレートな描写があります。気になる方は閲覧をお控え下さい。
ぼくとベルさん/著:フィリップ・ロイ
ディスレクシア、読み書きに困難を抱える少年の物語です。「みんな簡単に覚えてるけど、僕にとってスペルを覚えることは、葉の模様を一枚一枚覚えて探し当てるぐらい途方もないことだ」という言葉がとても印象に残りました。英語は、音と字が必ずしも一致していないということにこれを読んで気づきました。例えば、「one(1)」には、「ワ」という音があるのに「w」で始まらず、「two(2)」には「ワ」の音がないのに「w」が使われています。そういった細かいこと一つ一つに戸惑う少年の姿が描かれています。「誰だか知らないけど、英語を考えた人は頭がおかしい」という少年の言葉に、英語圏の人でもそんなことを考えるのか!とちょっと笑ってしまいました。
迷子のトウモロコシ/著:嘉成晴香
世界で活躍する「天才」の姉を持ち、いい子を演じている「普通」の小学生の女の子の物語です。発達障害などの本だと、「普通ってなに?」とか、「普通になりたい」という言葉をよく見ますが、これは「特別になりたい」という真逆のテーマが新鮮でした。自分にはこれと言った特技もないと思っていた主人公ですが、あることがきっかけで、自分の隠れていた才能が開花していきます。自分の才能と向き合う内に、だんだんと「いい子」ではなくなるのですが、「いい子」でいるだけの時より、人生が生き生きとして充実していくのがよくわかり、年齢関係なく、好きなことをしている時が人は一番輝いているな、と改めて感じられる本でした。
児童文学との出会い
いかがだったでしょうか。
本の紹介記事を書こうと思ったのは、「児童文学」との出会いがきっかけです。
Wikipediaによると、10歳~12歳くらいまでの子供を対象として書かれた本だそうです。
良い専門書の紹介はいたるところでされていますが、児童書についてはほとんどされていません。
でも、自分で読んだ限り、専門書と同じくらい、場合によってはそれ以上に子供のことが詳しく描かれていると感じました。
これは是非たくさんの方に知って欲しい!と思い、この記事を書くことにしました。
専門家が書いた本しか読んだことがない
難しい本は苦手なんです…
という方は、ぜひ、児童文学を手に取ってみて下さい。
よりリアルな子供の声が詰まった本と出会えるはずです。
個人的には、大人にこそ読んで欲しいなと思う程、「児童文学」が気に入っています。
児童文学の良さ
読みやすさ
程よいボリュームで、まわりくどい表現も少ないです。
フリガナがついているものもあり、使われている言葉もシンプルだと感じます。
大人でも、本を読むことに慣れていない人は多いと思いますが、そういった方でも疲労感なく読めると思います。
タイトルから内容がバレない
自閉症、ディスレクシア、性、または思春期特有の悩みを抱える子供たちについて描かれた本だとは、
タイトルやカバーからは想像も出来ないものが多いのも、特徴であり良さの一つだと思います。
どんな本を読んでいるか
友達に知られたくない…
借りる時に受付で出しにくい…
そう感じる子供もいると思うので、これはいいことだと思いました。
性や体に関する本なら尚更ですね。
自分の体と向き合うための本であり、いわゆる「エッチな本」とは違うことはわかっていても、
堂々と「性の本」を人前で読める人は、大人でもそういないのではないかと思います。
なので、タイトルや表紙から内容がわからないというのは、見つけてもらいにくさはあれど、子供にとっては利点があるように思いました。
本のタイトルが、「自分が今何に悩んでいるか」をあまりにも明確に表していると、場合によっては、気になっても借りられない子供もいるのだと思います。
紹介した「ポーチとノート」の中でも、性について書かれた本を図書室で見つけて気になったものの、
恥ずかしさから借りるどころか、手に取ることさえ簡単には出来ない姿がありました。
きっと、これは本の中だけのことではなく、現実でも同じことが起きているのだと感じました。
そう考えると、匿名で話せたり、誰にもバレ ずに情報を入手できるインターネットの世界に頼りたくなるのもわかる気がします。
しかし、それで誤った情報にアクセスしてし まっては本末転倒です。
体や性などの本は、安心して借りられる工夫や、プライバシーを確保しながら読める環境を整えることも必要なのかもしれません。
娘は、発達障害があり、不安症でもあり、読み書きの困難さもあります。
生きづらさのデパートのような娘を、少しでも理解し、環境を整えるヒントを得られればという思いで本を読んできましたが、
本を読むだけで理解できるほど
子供の世界は単純ではない
と、本を読めば読むほど痛感させられています。
本で得た知識を、現実の子育てに応用していくことの難しさを感じる日々でもありますが、
本は、毎回新しい発見や気づきをくれる子育ての強力なサポーターでもあるので、これからもたくさん読んでいきたいと思います。
どなたかの参考になれば、幸いです。
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